県指定文化財 絵画
|
この図は、真壁博氏から平成7年に真壁町へ寄贈された真壁家家伝史料一括のなかの1点である。真壁氏は中世を通じて真壁地方を支配した豪族であり、描かれている人物は真壁家歴代当主の一人で天正17年(1589)に没した真壁久幹(道無)であると推定される。制作年代は16世紀後半と考えられる。
一般に中世の肖像画では、上畳に像主が描かれて背景を伴わないのが通例であり、さらに大きさは長条幅で像主は下方に描かれ、画讃が上部に記されていることが多い。
この画は、このような基準からは外れるが、この時期の関東地域には小田政治像、小田氏治像、武田信玄像など、伝真壁道無像と共通する技法がみられる。16世紀後半に流行した地方様式武家肖像画のひとつとして貴重なものである。