八柱神社本殿の特徴といえば、なんといっても四方の壁に施された豪華な彫刻です。
胴羽目彫刻が9枚、腰羽目彫刻が9枚と合計18枚もの彫刻が施されています。
本殿は、日光東照宮の装飾的な唐様建築の影響を受けて一般的に華やかな装飾の社寺が多く建立されていた時期、天明5年(1785)頃の建立と考えられています。また彫刻の内容も、中国故事や仙人像といったモチーフが多く取り入れられるようになり、八柱神社本殿の豪華な彫刻にもその影響がみられます。

西王母/東面左
西王母とは、古代中国の伝説上の女仙人のことです。崑崙山に住む不老不死の西王母の庭には3000年に一度しか実のならない仙桃があり、これを食べると永遠に年をとらないとわれています。彫刻の場面は、長生きを願っていた漢の武帝に西王母が七つの仙桃を与えるところです。
淵名漉酒図/東面中央
東晋のころ、陶淵明という名の詩人がいました。県令となるも僅か85日で職を辞し、故郷に帰ります。以後は酒と菊を愛し、貧しい田園生活の傍ら、詩文を多く残しました。彫刻の場面は、淵明が酒を漉すために童子が甕口で葛巾を広げているところです。
巣父・許由/東面右
堯帝から「帝位を譲ろう」と言われた許由は、けがらわしいことを聞いたと穎川で耳を洗っていました。そこへ通りかかった巣父が「そのようにけがれた水は牛に飲ませることもできない。」と言ったという故事が伝えられています。彫刻の場面はその故事をもとにしたもので、清廉潔白な高士のあるべき姿を説いています。
展書/北面左
琴棋書画は、「琴」「囲碁」「書」「絵画」の四芸を指し、古代中国において文人が嗜む必須の教養とされていました。彫刻の場面は展書といい、読書する師を敬い、本を広げて文字を尋ねる童子の姿を表しています。
(文化財課 佐々木)
