寺か、神社か
前回、八柱神社の本殿・拝殿は、廃寺になった金剛院の聖天堂が残されて利用されている、聖天さまは仏教の守護神である、という話をしました。つまり八柱神社は、元は真言宗の聖天山恵日光寺金剛院という「お寺」だったのです。そして聖天さまは本尊ではなく、密教系の不動明王が本尊です。「新編常陸国誌」には金剛院が「聖天の別当を帯す」と記されています。しかし明治に入ると廃寺となり、聖天堂を除く建物は廃棄されました。
そして聖天堂に八坂神社を中心とする近在の神社八柱が合祀され、八柱神社(村社として塙世神社とも呼ぶ)として再生され今日に残りました。
合祀した際に他の神社から八柱神社の敷地内に移してきたお宮
真言密教 と 聖天建築
密教(真言密教・天台密教)は、規定された作法(修法)によって仏の加護を受けようとする加持祈祷を特色とします。修法に用いる曼陀羅(尊像を規則に従って整然と描いた図像)や法具は美術工芸的にも優れています。修法は秘儀で、法弟に口承されますが、なかでも吉凶禍福を祈る聖天浴油供は秘法中の秘法とされ、修法を行う本殿は密閉された建築様式をとっています。なお、八柱神社に現在も奉納される二股の大根は聖天信仰の男女合一を象徴し、本殿彫刻のほか、什物の机にも図像が用いられています。
本殿東面の真ん中(下)にある彫刻「大根曳き」
(学芸員 寺﨑)
